記者:塚越真澄
2023年5月3日、佐賀県・有田へ。そして翌5月4日は隣町の長崎県・波佐見へ。
4年ぶりの通常開催ということで、どんな素敵なうつわと出会えるか…期待に胸をふくらませながらそれぞれの陶器市を訪ねました!
<有田陶器市>
有田陶器市は毎年4月29日~5月5日に開催され、佐賀県有田町内に店舗が並び、全国から約100万人が訪れる大陶器市です。中でもJR有田駅周辺から上有田駅までの約4kmの通りには450を超える店が並びます。
今回の旅では朝10時にJR上有田駅をスタートして、JR有田駅までの間の気になるお店を覗きながら進みました。
まずとにかく今日は歩きます!スニーカーが必須。そして経験者の友人のアドバイスでキャリーケースを持って、軍手も用意!これで重たいうつわも安心して持ち運べるし、やきものの粉を拭って綺麗にできます。
今回はせっかく歴史ある有田の町に来たので、繊細な絵付けのうつわに出会えるといいなぁと思いながら出発しました。
さっそく心ときめくお店を発見。
以前から気になっていた陶房心和庵さん。
双子の兄弟で器づくりと絵付けを行う、三河内焼の陶房です。モダンな染付柄がどれも素敵です。
メイン通りは大変な混雑ですが一本裏に入ると意外にも落ち着いていました。
有田らしい景色、トンバイ塀のある裏通りはおすすめポイントです。
トンバイ塀とは、登り窯を築くために用いた耐火レンガ(トンバイ)の廃材や使い捨ての窯道具を赤土で塗り固めて作った塀のこと。とってもレトロで可愛いです。
普段はなかなかご縁がないような窯元さんの素晴らしい作品を見ることができるのも陶器市の醍醐味です。こちらの門構えからして立派な目を引くお屋敷は、辻精磁社さんという皇室御用窯元。ご主人から皇室に納めているうつわを拝見したりお話を伺うことができ、貴重な経験となりました。
メイン通りに戻るととっても賑わっています!
ファミリーも、ご年配の方も、皆さん楽しげにうつわを探している様子が印象的でした。
途中で陶山神社にも立ち寄ります。
なんと大鳥居に狛犬、お守りまで磁気で作られている有田らしい神社です。急な階段を上るのでスーツケース持参にはなかなかのハードさでしたが、境内からの眺めも気持ちがいいもでしたよ。
お昼も過ぎだんだん疲れも溜まってきたところで、ランチはカレーに。
深川製磁さんの2階が臨時のカレー専門店になっていました。元気が出てきてまだまだ歩ける気分に復活。
通りにはワゴンセールでお買い得品もたくさん並んでいるので掘り出し物を探す楽しみもあります。陶器市のベテランさんなのか、お店の方と上手に交渉してさらなる値引きに成功しているマダムの方もお見掛けしました。
今回のゴールは有田駅!15時頃の到着ということで、朝10時に上有田駅を出発してから5時間もよく歩きましたが、おかげでたくさんのお店を巡ることができました。
普段は目的のうつわ屋さんにめがけて行くことが多いですが、陶器市では思いもよらない出会いがあるのが嬉しいところ。今回の旅で当初期待していた有田らしい歴史を感じられる絵付けのうつわだけでなく、現代的なマットなうつわ、そして思わず手に取ってしまった鎬のうつわ… 陶器市に来たからこそ手に取ることができたうつわばかりでした。
私自身が長崎県出身で、子供のころから有田焼や三河内焼に囲まれて育ちました。当時はうつわの楽しさにもまだ目覚めていなかったこともあり、絵付けのうつわはなんとなく古くさいものだと思い込んだまま大人になり、近頃は陶器の土肌が楽しめるうつわばかり買い求めていました。でもやはり有田の町を実際に歩いて手に取ると磁器は美しく、家に帰って使ってみると毎日の食卓にもとってもよく馴染みました。
うつわのバリエーションが増えて食事やお茶の時間の楽しみがよりいっそう高まること間違いなしです。
<購入品>
左2点 陶房心和庵
右 ARITA PORCELAIN LAB
染付のうつわはちょっとした菓子皿にも、おかずにも、とても使いやすくて重宝します。
JICON 磁今
マットな質感であたたかみがある半磁器のうつわ。桔梗のフォルムが可愛らしいです。
皿屋
鎬の陶器。とっても好みの脚付きのうつわでした。花器にも撮影にも活躍しそうです。
今右衛門窯
有田らしい細やかな絵付けのうつわを探しても探しても、なかなかこれというものに出会えなかった中、一目ぼれした今右衛門窯の小さなうつわ。高台まで美しいです。
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